特色ある研修プログラム
基本となる研修プログラムは新規研修プログラム。対象国の中核医療機関から推薦された優秀な候補から、虎の門病院でその科目の効果的な研修が可能か等も勘案し、年間6~8人程度を招聘しています。約2ヶ月間、当事国や本人のニーズに沿って各人ごとのプログラムを作成し実施しています。研修期間中には、日本の歴史や文化に触れてもらうためのスタディツアー(京都・奈良)も用意しています。
新規研修から帰国の後、その成果を母国で実現、共有していく中で、復習や新たな学びの必要が生じたOBに対し、再研修プログラムを運営しています。再研修は2週間程度と短期ですが、新規研修時に形成した指導医等とのネットワークを生かして、主体的、効率的に取り組んでいます。
また、虎の門病院の医師が対象国を訪問して講演や実技指導を行うフォローアップ研修プログラムも定期的に行っています。
研修プログラム体系
医療研修プログラム
1. 新規研修 |
対象国の中核的医療機関の優秀な医師を招聘し、先進医療技術を中心とする医療研修を実施し、その成果を派遣元の医療水準の向上に繋げる。 |
6人/年 期間:2ヶ月 |
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2. 再研修 |
研修生OBを招聘し、短期再研修を実施し、研修成果の一段の促進を図る。 |
5~10人/年 期間:2週間 |
3. フォローアップ |
虎の門病院の指導医が現地に出張し、研修生OBのフォローや現地医師を集めての、手技デモンストレーション、実技指導、講演などを行う。 | 2回程度/年 |
文化研修プログラム
より多くの研修生に親日家になってもらい、派遣元の国々との友好関係を促進するため、新規研修生に対し、日本社会と歴史、文化、そして日本人に対する理解、学習のための機会とプログラムを用意している。 |
研修プログラムに参加して
医療研修プログラム
手術室における医師と看護師の良好なチームワークが印象的だった。全員が患者のために細かな気配りをしつつ動いている。また、ベテランの医師達が経験の浅い医師達の手術室に来て、必要なアドバイスをすることが当り前になっている。この慣習はベトナムの病院にも広めようと心に誓った。

Dinh Manh Hai
ハノイ医科大学附属病院
脳神経・脊椎外科(23年春)
私は今回、ポーランドでは一般的でない「低侵襲手術」に焦点を絞って臨んだ。学んだことを生かし、ワルシャワの病院でより多くの症例に対して腹腔鏡下手術を行なうことにより、入院日数短縮に繋げたいと考えている。今回の研修で新たに心に沸いてきた自分の専門分野に対する情熱を胸に帰国します。

Leszek Zajac
ポーランド国立がんセンター
消化器癌外科(23年春)
H先生からは顕微鏡下手術のために、10-0の縫合糸で縫う練習法も習った。この練習法では高倍率術野における触覚を体感できるので顕微鏡下手術での視野を向上させることができる。この練習法は絶対にマレーシアの勤務先大学に持ち帰って導入したいと思う。

Ang Song Yee
マレーシア理科大学医学部
脳神経外科(23年秋)
文化研修プログラム
京都・奈良へのスタディツアーは周到に計画されており、私達の理解の助けとなるように、事前に日本の歴史と各時代の文化の特色を簡潔にまとめた小冊子が配布されるなど、ツアーが効果的に実施されるよう工夫されていた。
初日は興福寺と東大寺を訪れ、大仏に畏敬の念を抱いた。夜には京都の「ギオンコーナー」で、琴、狂言、文楽等日本文化を紹介する素晴らしいショーを鑑賞した。2日目と3日目には二条城、金閣寺、竜安寺等や嵐山の渡月橋と竹林、最後に清水寺を訪れた。
日本は現代的な建物や乗り物、技術にあふれた先進的な社会を持ちながら、長い歴史を秘めた寺院や神社、伝統文化を保護している。現代の若者達がこのような場所を訪れたり伝統的な文化を鑑賞することは、かけがえのない貴重な文化遺産を未来永劫継承していくことの重要性を学ぶ最良の教育であると思った。

Tran Minh Quan
ホーチミン医科歯科大チョーライ病院
呼吸器センター外科(24年春)
京都と奈良への旅行は、歴史と文化の豊かさに満ちた忘れられない体験となった。金閣寺、清水寺、龍安寺を訪れ、それぞれが日本の深い精神性と芸術的な遺産を垣間見せてくれた。金閣寺は静かな庭園の中で金色に輝き、清水寺は木造の舞台から見渡す街の景色が素晴らしく、どちらも心を奪われた。龍安寺の静かな石庭では、伝統的な日本のデザインのシンプルさと静けさを感じ、深く思索する時間を持つことができた。
茶道は心が落ち着き、日本文化が大切にする「心を込めた所作」と「正確さ」への洞察を得られる没入感のある体験だった。また、伝統的な和扇子への絵付けにも挑戦し、楽しい時間を過ごしながら、世代を超えて受け継がれてきた職人技に触れることもできた。
歴史に彩られた京都と奈良は、まるで時代を遡ったかのような感覚を与えてくれた。この旅の思い出はいつまでも大切にしたいと思う。

Khadbaatar Byambajav
モンゴル国立中央第一病院
脳神経血管内治療科(24年秋)